以前の記事はこちら その1 導入編 その2
使用準備(?)編

「OM-1」発売時のポイントとして、「E-M1X」よりもさらに進化したAI被写体認識AFと速射性、MFT機初の「裏面照射型センサー」採用と新画像処理エンジンによる高画質化(特に高感度性能)、当時最強レベルのEVFの画素数などが謳われていました。 ishidaの場合は撮影対象がクモや昆虫などの小動物、ほとんどがMFによるピント合わせのため、被写体認識AFはそれほど重視していなかったのですが、たまに現れる鳥や小動物を撮る場合には(MFTネイティブなレンズ装着時限定ですが)、かえって普段は慣れていない対象でもAF任せで撮影できる利点は大いに感じます。
普段は「E-M1
MarkU」から可能であった高速連写もプリ連写(プロキャプチャー)もほとんど使わない人なので、最も心惹かれた性能向上は「EVFの画素数アップ」(これは画質と関係ないけど、マクロ撮影には必須と思っていた)と「高画質化」「手振れ補正能力の向上」でした。 画質とは相反しますが、センサーが小さいという物理特性からくるMFT機の数少ない利点の一つに「高い手振れ補正能力」というのがあると思うのですが、特にオリンパス時代から連綿と磨かれてきたOM-Dシリーズの美点の一つが更に能力向上したっていうことですよね。 ついでに言うと、センサー画素数もシャッター自体も小さいんだから本来はフラッシュ同調速度やローリングシャッター速度ももっと高くて然るべきだと思うけど…(それでも、ローリングシャッター歪みについてはOM-1登場時点では同世代のAPS‐C機やフルサイズ機を凌駕しているらしい) 実際、手振れ補正能力はカタログスペック上は同等(かそれ以上)のはずの「Panasonic
G9」と併用した際には、ボディ側単独の手振れ補正機能を使ったマクロ撮影時の歩留まりは、G9≦E-M1<E-M1U<OM-1という関係になっていると感じます。
それでも撮影倍率が高ければ露出倍数もかさむし、そもそもマクロ撮影は条件的に薄暗い環境が多いので普段はフラッシュも併用して撮るケースが多く、フィールドを歩き回る際にもフラッシュとディフューザーは装着していることがほとんどですが、それでも状況に応じてフラッシュの有無を使い分けるほうが良いに決まってますよね。 そんなわけで、OM-1の手振れ補正能力と高感度画質には期待が高かったのでした。
ishidaの場合、基本的にRAW現像はしない人(しない派ではなく、ただ時間的に面倒なだけ)なので、JPEG撮って出しの画質でどの程度の向上を感じられるかを検証してみようと思います。 画像サイズ・画質をデフォルトの「L(ラージ)/F(ファイン)」設定とし、まずはマクロ撮影でありがちな「日陰」環境の「手持ち」撮影で越冬中の「キマダラカメムシ」をISO感度別に撮影してみた結果を比較してみました。 以下の画像では全画面を700×525Pixelに縮小したものと、中央付近を1400×1400pixelで切り出して1/2(700×700Pixel)に縮小したもので比較しています。 (画像をクリックすると1400×1400Pixelの画像が別ウィンドウで開きます) 容器の縁にとまっている「キマダラカメムシ」を撮影していますが、自分も持ち手を容器の縁に乗せて手振れを軽減して撮っています。
 越冬中の「キマダラカメムシ」を手持ちで撮影。ISO200だと1/5secとなり、手振れで歩留まりは悪い。
 概ね普段見慣れた感じだが、MFTで低照度撮影した時に特有のやや眠い画質。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 ISO400だと1/8secとなるが、歩留まりも大差ない感じ?
 実際、拡大して見たらちょっと微ブレしていたみたい(^^; クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 縮小画像では差は感じず、SSが1/20secレベルなら歩留まりの向上は期待できる。
 実はISO800でもISO200と比較すると多少の劣化は感じるが、ノイズや暗部のモヤモヤは感じない。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 ISO1600でも、カメラのモニターで見る限り特に差は感じなかった。
 はっきり言ってISO800とほとんど差はない印象。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 ISO3200は「E-M1U」でISOオートの上限に設定していた数値。
 E-M1Uだと使いたくなくなるくらいのISOでも、ディテールは緩くなるもののノイズ感はない。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 縮小画像ならもっと低ISOの画像と大差ない。
 中間調にザラザラが見えるようになってくるが、まだノイズ感は少ない。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 縮小画像ではそれほど劣化を感じない限界レベルか?
 さすがにざらつきは目立つようになってきた。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
 やはり縮小画像でもやや緩みを感じる画像になってくる。
 この辺りが限界か?ディテールも曖昧になってきている。 クリックすると1400×1400Pixel等倍の画像が新しいウィンドウで開きます。
手振れ補正効果も見たかったため手持ち撮影した結果、低ISO時の撮影枚数が少なすぎて微ブレやピンズレ写真が入ってしまいましたが、やはりSSが1/160secを下回ると手持ち撮影では歩留まりはかなり下がってしまい、画質の検証に向いていない撮影条件でした(^^; とはいえ、PCのモニタなどでも縮小画像で見るとISO12800くらいまではノイズ感やディテールの緩みはほとんど感じず、ノイズについては非常に優秀なようです。 今は懐かしい初代の「E-M1」については、後続の「E-M5
MarkU」のほうが高感度の画質が良いなんていう下克上状態もあり、「E-M1」ではISO1600で撮影した画像でもカメラの液晶モニターで見てやや違和感を感じるくらいだったことを思うと、現代の技術で作られたセンサー+画像処理を含めた回路の効果ってすごいなあと思います。 (もちろん物理的限界はあるので、もっとフォーマットの大きいセンサーを積んだカメラとは比べちゃいけませんけど…(^^;) 本機の場合は実際にはISO6400を越えた辺りからは色の乗りが曖昧になってコントラストが下がったように見えてくるので、この辺りが「E-M1」のISO1600と同等なのかなと思います。 結局、MFTの悪癖の「低ISO感度で撮影しても低照度の条件では画質がイマイチ」というのは克服できておらず、ISO3200くらいがishida式の条件的に鑑賞に堪える上限としておきます。
で、本機の高画質化について言われているもう一つのポイント、「解像感のアップ」についてですが、ネットのレビューなどでは「前機種とは撮り比べると明らかに違いを感じられる」くらいの差があるという触れ込みでした。 これについてはわざわざ前任機「E-M1U」(今でもサブ機として使用している)と同条件で撮り比べたりしていませんが、標準のISO200で撮影した場合はデフォルトのJPEG画像の「L(ラージ)/F(ファイン)」設定での画像は「OM-1」の方が明らかに解像感が高いというほどでもない気がして、前任機とは概ね「大差ないかやや優勢」レベルにしか感じません(^^;…かえってレンズや撮影条件の差の方が大きい気がする。 これについてはデフォルトの「L/F」ではなく、JPEGの最高画質「L(ラージ)/SF(スーパーファイン)」設定にして見た方が良いと思うんだけど、ファイルサイズはかなり大きくなってしまうのが玉に瑕です。(従来の「E-M1U」の場合は「L/F」が最高画質で、JPEG画像のファイルサイズが7〜11MB程度なのに対し、「OM-1」の場合は「L/F」で同等程度のファイルサイズ、さらに最高画質の「L/SF」の場合は〜16MB程度のファイルサイズになってしまうため常用するにはやや二の足を踏んでしまう気もしますが、より高画質が期待できるのにそれを使わないというのはもったいないよね(^^; これについては今後実証していこうかと思います。
 OM-1+Laowa 100mm Macro F6.3 1/250sec ISO200
(L/F設定) 画像をクリックすると等倍の元画像が新しいウィンドウで開きます。
 中央部付近を700×700Pixelで切り出し。
 OM-1+Laowa 100mm Macro F9 1/250sec ISO200 フラッシュ発光
(L/F設定) ファイルサイズ10.7MB 画像をクリックすると等倍の元画像が新しいウィンドウで開きます。
 E-M1U+Laowa 100mm Macro F9 1/250sec ISO200 フラッシュ発光
(L/F設定) ファイルサイズ8.24MB 画像をクリックすると等倍の元画像が新しいウィンドウで開きます。
 OM-1で撮影した画像の中央部付近を700×700Pixelで切り出し。
 E-M1Uで撮影した画像の中央部付近を700×700Pixelで切り出し。
 OM-1+M.ZD 100-400mm F5.0-6.3 (400mm) F9 1/800sec
ISO5000 (L/F設定) 画像をクリックすると等倍の元画像が新しいウィンドウで開きます。
 中央部付近を700×700Pixelで切り出し。ノイズも目立ってディテールはかなりユルめ…。
 OM-1+Laowa 100mm Macro F9 1/250sec ISO5000
(L/F設定)
 中央部付近を700×700Pixelで切り出し。ISO5000でユルめながら質感はけっこう保持されている。
 OM-1+Laowa 100mm Macro F10 1/250sec ISO200
フラッシュ同調 (L/F設定)
 中央部付近を700×700Pixelで切り出し。もっとシャープなのを期待したが、これは回折ボケも入っているのか?
-------------------------- 以降へ続く --------------------------- |