OM Digital Solutions(OMDS) OM-1 その4 使用編 A

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その1 導入編 その2 使用準備(?)編  その3 使用編@

登山のメインカメラとして活躍してもらうため、新しい(?)レンズを導入しました。

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2024年以降は登山のメインカメラを「Panasonic FZ1000」から「OM-1」に移行してやろうという魂胆もあって、まずは「OM-1+M.ZD 12-40mm F2.8 PRO」でもって登山に使用してみたところ、結果的には使い勝手は悪くないものの、望遠端が40mm(35mm換算80mm)という画角に物足りなさを感じるケースが多かったのでした。
(12-40mm F2.8 PROの近接性能についてはけっこう満足度高いんですけどねえ…)
「FZ1000」はズーム倍率的には35mm換算で25-400mm(16倍)F2.8-4というズームレンジで、センサーはM43より一回り小さい1インチ(2010漫画素)ですが、LEIDA認証の明るいレンズとセンサー・画像処理を含めての描写性はとても優れています。http://www.ishidashiki.sakura.ne.jp/dougu/FZ1000/FZ1000_1.html

もちろん「コンパクトカメラ」という範疇で考えると巨大なカメラですが、25-400mm相当のワイド〜超望遠域までの撮影を一台で賄えること考えると十分軽量コンパクトなうえ、ちゃんとEVFもあるし、フィルターも使えます。(ishidaの場合、旅行や登山にはPLフィルターが必携)
唯一の弱点は、コンパクトカメラのわりにマクロに弱いことくらいでしょうか。

で、これを置き換える候補として浮上したのが「OM-1」に「M.ZD 12-200mm F3.5-6.3」という組み合わせです。
「M.ZD 12-200mm F3.5-6.3」のズーム比16.6倍のスペックは2019年の登場当時にはメーカー純正の交換レンズとして世界最高クラス※のズーム比を達成したレンズです。
(※調べたら、2014年発売のTAMRON製のAPS-C用レンズ「16-300mm F3.5-6.3」というのが18.8倍で交換レンズとしては世界最高倍率らしい)
このレンズの場合は単純に高倍率のズーム比だけでなく、広角端の焦点距離が12mm(35mm換算24mm)スタートだというのが最大のメリットだと思います。
同じOLYMPUS(現OMDS)レンズでは先輩格にあたる「M.ZD 12-100mm F4 PRO」がありますが、その上をいく望遠端200mm(35mm換算400mm相当)のスペックとなります。
もちろん、「高ズーム比」「描写性」「レンズ側と協調した手振れ補正」などを兼ね備えた12-100は「PRO」の名に恥じない素晴らしいレンズと言われていますが、12-200もM43のセンサーサイズの小ささとショートフランジバックを生かした光学設計の利点をフルに生かした特徴的なレンズといえます。
もちろん、描写性を第一に考えた場合は「PRO」を標榜する12-100に優位性があるんですが、如何せん価格のお高いレンズなうえに所有している「M.ZD 12-40mm F2.8 PRO」とモロ被りなスペック…
(ishidaにとっては「お高い」というのが一番のネック(^^;;;;)
もちろん12-200の場合はF値の関係からして表現の幅の狭さや絶対的な描写性能についてはPROレンズに敵わないのは致し方ないところです。
12-200の描写性に関しては、レビュー記事などで一抹の不安も感じる面もありましたが、Facebookで参加しているグループ「オリンパス愛好会」での他の愛好者の方々の作例を見ると12-200の描写性にはそんなに不満は感じなさそうな感触も持ちました。

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メーカー公表のMTF特性(上が12-200、下が12-100 PRO) この条件では特に望遠端の性能的にはイマイチか…?

新レンズを導入する場合、「FZ1000」との比較で考えてもズーム比的には12-40+40-150の2本分のレンジが欲しいなあという希望ですが、雪のあるシーズンに撮影することが多いishidaの場合は登山中にレンズ交換っていうのは考えられないでんすよね。
そんなわけで、一気に12-200か12-100の導入を…という方向に気持ちが盛り上がってくるのがishida式です(^^;
前述のように価格のネックが無ければ描写性に定評のある12-100という選択肢が優位となるところですが、価格だけでなくズーム比による利便性などの優位性をとって12-200に軍配が上がり、結局はよりコストをより重視した「中古品」の購入と相成りました。

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OM-1+M.ZD 12-200mm F3.5-6.3

ちなみに最大撮影倍率・サイズなどのスペックはこんな感じ。 

【M.ZD 12-200mm F3.5-6.3】 
0.1(W端:0.22m) 0.23(T端:0.7m) Φ77.5×99.7mm 455g IPX1(防滴)

【M.ZD 12-100mm F4 PRO】
0.3(W端:0.15m) 0.21(T端:0.45m) Φ77.5×116.5mm 561g IP53(防塵防滴)

【M.ZD 12-40mm F2.8 PRO】
0.11(W端:0.3m) 0.3倍(T端:0.3m) Φ69.9×84mm 382g IPX1(防滴)

しばしばネットの記事などで「防塵防滴」と言っているが、12-200と12-40はIPX1なので規格上は「防滴」のみで、防塵については規格外(設計的配慮はされている)っていうことです。
レンズ自体はボディとの組み合わせでIPX1(防滴のみ)となっているうえに伸縮式の鏡筒ですから、空気の出入りによる内部への埃の侵入は避けられません。
良い子は濡れたままの状態や埃だらけの環境でズーミングしたりしないのが賢明です(^^;

Amazonで購入した現品は、レンズフード欠品・リアキャップが何故か「LUMIX」銘となっている点を除けば、外観は美品・レンズ内のチリ・埃もほとんど無くてコンディションはまずまずでした。
ただ、コスト重視といっても、もともと12-40 PROよりお高いレンズなうえ相次ぐ価格改定でOMDSレンズ全般の新品価格が上昇しているためか、中古品でもあまり値ごろ感はありませんでした。
外観的には「M.ZD 75-300mm F4.8-6.7U」をひと廻り太くしたような見た目で、樹脂製の鏡筒ながらチープということもありませんが特に高級感もない…という感じです。
望遠端までズームすると全長が2倍近く伸び、この手のレンズとしては一般的なやや情けない外観になってしまうのは致し方ないですね。
(インナーズームで全長が伸びない「M.ZD 40-150mm F2.8 PRO」以外はみんなこんな感じだし(^^;)
発売当初のレビューでは「望遠端付近でズームリングが極端に重くなる/引っ掛かりを感じる」といった声も多々見受けられましたが、購入したものはズーム比的にT端近く(100→200mm近辺)ではやや重さの変化は感じるものの動き自体はスムーズでした。

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OM-1との組み合わせはけっこうバランスが良く感じる。

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広角端12mmの状態が一番短い。

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望遠端200mmまでズーミング。ズームリングの回転角は90度程度しかない。

まずは低山歩きに持参してみた結果では「使い勝手的には良好だが、F値も大きいので何となくコンパクトカメラ的な描写だなあ」というのが第一印象です。
OM-1との組み合わせでも、AFで普通に風景とか撮っている限りでは絞り解放(ライブビュー中は常に解放)でも被写界深度が深くてどこにピントが来ているのか判り辛いし、ピントリングの操作性も普通の電子フォーカス特有の使い勝手のまだるっこしさを感じるのは仕様的には致し方ないところかなあ…。
フィルター枠はワイド端を意識してか72mmと大きめで、ステップアップリングで77mm径のPLフィルターを使用すれば薄枠でなくても広角端でのケラレはありません。
初回使用時はデッドストックの中華製PLフィルターを使用してみたところ、フィルターが原因で望遠側の解像不良が目立つ結果となってしまい、これがこのレンズの実力かと思って愕然…すみません、濡れ衣でした(^^;
フィルターの有無や銘柄を変えてのテストでは大きな問題はありませんでした。
ただ、MTFグラフなどで見ても何となく想像はできますが、絞り開放での描写については全体的にやや甘さを感じる画質となっており、少なくとも1〜2段程度は絞って使用したほうが良さそうだし、ボケ自体もあまりきれいではない気がします。

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広角端の12mmで撮影。OM-1 F3.5 1/800sec ISO200

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望遠端の200mmで撮影。OM-1 F6.3 1/400sec ISO200

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200mmでの中央部付近を700×700Pixelで切り出し。やはりシャープさには欠ける…

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OM-1 80mm F6.1 1/400sec ISO200。硬さはないが、あまりきれいなボケ方ではない感じ。

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左上を700×700Pixelで等倍切り出し。収差の残存を如実に感じる。

逆に、いろいろなレビューで「望遠端の画質が悪い」「いや、それほどでもない」といった毀誉褒貶様々に言われており、望遠側の遠景に関していえば確かにコントラストが低下してやや甘い描写には見えるし補正が入っているはずなのに周辺光量落ちも目立ちますが、解像力自体はそこそこ出ているという感想です。
シャープさや解像感・ヌケの良さなどを含む描写性についても、これまで使ってきた他のレンズのように「粗探しをしない限り不満点がないレベル」かといえばそうとも言えず、一見してもややシャープさに欠ける描写なのは認めざるを得ません。
画面の中央部は大きな不満はないものの、ワイド端では(個体差の可能性も高いが)左側にやや片ボケ傾向が見えるものの、歪曲や倍率色収差による滲み・フリンジは(電子補正も含めて?)よく補正されているように見えます。
とはいえ、欠点を補う使い方と、ズーム比とコンパクトさという利便性を加味して評価すれば、十分満足感はあると言えます。
また、フォーカス自体はとても早くて快適、PROレンズのように金属鏡筒ではないのは冬場に冷たさを感じにくいという隠れた利点(?)もあることを知りました(^^)
ただ、登山で使用した場合は、マクロ的な使い勝手以外ではシステムとしてFZ1000との描写の差は明確に感じられず、携帯性も含めた優位性をそれほど感じられないなあ…という複雑な感情も湧いてきてしまいます。
(実際、FZ1000自体はセンサーサイズもM43より一回り小さい程度のレベルだし、使い勝手や電池の持ちは良好、LEICA銘のレンズの性能もなかなか良くてシャープな描写、新品で購入した価格もこのレンズの中古価格より安かったんです…)

全体的には1回の山行で600ショット以上撮影した中で実際に100mmを越える焦点距離で撮影したのは10ショット程度だったということもあって、12-100mmでもズーム比的にはそれほど問題ない気もするし、絶対的な描写性能の差もあることを考えると「価格差にさえネックが無ければ12-100mmのほうが幸せだったかも」という雑念も湧いてこないでもないんですが…もっと単純に「登山や旅行の際にレンズ交換なくワイドから超望遠、ハーフマクロレベルの接写が可能」という利点をフルに生かして楽しむべきですかね。
実際、描写的に良いなと感じるケースとイマイチに感じるケースが分かれており、遠景と近景が同一画面内にある場合の前ボケなんかはキレイとは言い難いし、広角側で周辺の木の枝などがワシャワシャな感じに見えるのでそういう構図は出来るだけ避けたほうが良いかもしれませんね。
いずれにしてもこのレンズのウィークポイントが目立たない構図というものがあると感じるので、一見して初心者も使い易いように見えて実は使いこなしが難しいレンズかもしれません。

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OM-1+M.ZD 12-200mm F5.4 1/800sec ISO200 (42mm) PLフィルター使用 縮小画像では特に破綻なし。

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OM-1+M.ZD 12-200mm F4 1/1250sec ISO200 (12mm) PLフィルター使用

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画面左上を700×700Pixelに切り出し。象面の影響か、けっこう画像は流れている。

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画面左下を700×700Pixelに切り出し。上側同様にけっこう流れている。

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画面左上を700×700Pixelに切り出し。左側に比べて良好に見える。

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OM-1+M.ZD 12-200mm F6.2 1/800sec ISO200 (94mm) PLフィルター使用 縮小画像では特に破綻なし。

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中央やや下寄りを700×700Pixelに切り出し。等倍で見ちゃうとモヤッとしている…

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 OM-1+M.ZD 12-200mm F5 1/800sec ISO200 (31mm) PLフィルター使用

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OM-1+M.ZD 12-200mm F4.5 1/800sec ISO200 (12mm) PLフィルター使用

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画像の中央を700×700Pixelに切り出し。

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画像の左上を700×700Pixelに切り出し。

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画像の左下を700×700Pixelに切り出し。

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画像の右上を700×700Pixelに切り出し。

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画像の右上を700×700Pixelに切り出し。

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OM-1+M.ZD 12-200mm F7.1 1/1600sec ISO200 (200mm) PLフィルター使用

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画像の中央上側を700×700Pixelに切り出し。

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OM-1+M.ZD 12-200mm F7.1 1/1600sec ISO200 (124mm) PLフィルター使用

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画像の中央上側を700×700Pixelに切り出し。

ここからは本当に作例のみですが、実際に使用した感覚ではレンズ交換することなくシームレスに超広角〜超望遠域、寄ればフィルサイズ換算でハーフマクロ領域近くまでの撮影が出来る利便性は捨てがたいという感じですね。
ただ、いくらハーフマクロ的な使い方も可能といっても春〜秋にかけてはたとえ登山が主目的であっても昆虫などとの出会いがあることを考慮するとマクロレンズは必携だなあとは感じるので、コンパクトな「M.ZD 60mm F2.8 Macro」も同時に携行するのがよいかもしれませんね。
と言いつつ、これまで通り「風景はFZ1000」「マクロはOM-1+Laowa 100mm x2 Macro」のほうが無敵かしら…ああ、悩ましくて眠れなくなりそう(^^;;;;;;;;;;;;;

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OM-1+M.ZD 12-200mm F7.1 1/500sec ISO200 (94mm) PLフィルター使用

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OM-1+M.ZD 12-200mm F8 1/250sec ISO200 (100mm)

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OM-1+M.ZD 12-200mm F6.1 1/500sec ISO200 (70mm) PLフィルター使用

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OM-1+M.ZD 12-200mm F6.3 1/400sec ISO200 (112mm) PLフィルター使用

PC120272.jpg - 73,227Bytes
OM-1+M.ZD 12-200mm F9 1/640sec ISO200 (80mm) PLフィルター使用

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OM-1+M.ZD 12-200mm F6.3 1/250sec ISO200 (18mm) PLフィルター使用

-------------------------- 以降続く(予定)---------------------------