クロイワトカゲモドキ

爬虫網 有鱗目 トカゲモドキ科  体長約180mm

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2019年に初めて遭遇したのは細かな斑模様の個体。この個体は再生尾のようです。

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上の写真の個体のすぐ後ろにいたもう1頭は模様が全く違う。実は見えなくなっているところで尾が切れている。

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2023年の沖縄遠征で最初に見たもの。尾を持ち上げた状態で静止している。

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これは渓流沿いで見付けた別個体。こうやって見ると、意外に手足が長い。

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上の画像と同じ位置で撮った2枚の画像、ちょっとした照明の違いで瞳孔の開きが全く違う。

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上と同じ個体ですが、細い首と肩が目立ってちょっと人間っぽい?

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顔面のアップ。鱗は顆粒状で細かいが、鼻先だけ堅そう。

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これは夜の山の中で見付けた個体。

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これも山の中の岩場で見付けたもの。これまで見たものとだいぶ雰囲気が違う色合いです。

沖縄本島に生息する原始的なヤモリの仲間で、ペットとして飼われている「ヒョウモントカゲモドキ」と近縁な生き物です。
一般的なヤモリが目に瞼を持たず、足指に俗にいう「吸盤」を持ち垂直な壁やガラスに貼り付くことができるのに対し、トカゲモドキの仲間は瞼を持ち、足指には吸盤状のものはもっておらず、主に地上で活動します。
沖縄本島には本種のみが生息し、周辺の離島には分化した亜種が分布しています。

体の表面は細かな鱗に覆われてざらざらとした艶消し感があり、体の斑紋は黒・白・橙・ピンクの混じった斑模様や縦横の縞模様があって、個体差が非常に大きいようです。
頭部は体のわりに大きく、頚部が細い独特のプロポーションに加えて尾が非常に肥大し、そこに栄養分を蓄えることができるそうです。
この尾はトカゲなどと同様に敵に襲われると自切し、その後再生するそうですが、模様や色が異なる(オリジナルでは横縞があり、再生尾は縦の斑模様となり骨もない)ため、見分けることが可能とのことで、これまでishidaが出会った個体は全て再生尾(もしくは尾がない状態)でした。


ヤモリ同様に夜行性で、昼間は岩の隙間や倒木の下などに潜み、夜間日常を歩き回って小型の節足動物などを捕食します。
夜間の観察で出会う本種は灯りで照らされるとほとんど不動の状態となり、この太い尾を立てるか、体をねじって頭の横に尾を持ってきて目立たせるかのような姿勢をとることが多いように感じます。(逆に灯りで照らしている間は動かないので、不動の状態なのは眩しいため周囲がよく見えなくなるせいかもしれません)
写真では目付きが悪く見えますが、これは灯りに反応して瞳孔が収縮しているためで、同じように夜行性のカエルなどに比べても暗闇に特化した適応をしているためのようです。

環境省のレッドデータブックのカテゴリは「絶滅危惧U類(VU)」、「沖縄県指定の天然記念物」に指定されていますが、本種も沖縄の小動物の例に漏れずマングースの食害に遭って減少しているだけでなくペット目的の密猟にも脅かされているとのことです。