ヤンバルマイマイ

軟体動物門 腹足網 柄眼目 オナジマイマイ科 殻径約35〜40mm

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いかにも「ヤンバルマイマイ」っぽさを感じる重量感があって全体的に黒化した個体。

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体層部は厚みがあって丸くてもっちりしており、周縁角は無い。

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螺菅に丸みが強いため、体層の縫合部はくびれている。

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「シュリマイマイ」タイプよりも成長脈が荒々しい個体が多い。

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やや色の薄い個体。内部の斑模様が目立つ。

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上部から見ると大きさの割りに巻きが多く見える。

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色の薄い個体は周縁の色帯が目立つ。

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まだ未成熟な個体だからか、螺搭が平板で「シュリマイマイ」っぽく見える個体。

やんばると呼ばれる沖縄本島北部の森林地帯に生息する大型の地上性マイマイで、沖縄本島としては最大種とされていましたが、2023年の沖縄遠征後にネットで調べたところ、沖縄県の「レッドデータおきなわ第3版」の記載によれば「シュリマイマイ」(主に沖縄本島南部〜中部に生息)と「ヤンバルマイマイ」(北部に生息)は同一種の地域変異に過ぎないとされ、実は従来「シュリマイマイ」1種とされていたものがいくつかの別種()に分けられているようです
※これは離島ごとに種分化しているという意味なのか、沖縄本島内でシュリマイマイによく似た隠蔽種がいるという意味なのかは文面ではよく判りませんでした。
ここでは明らかに形態が違う個体群であることから、従来の分類に従って「ヤンバルマイマイ」として紹介します。

形態的には「シュリマイマイ」に比べて一回り大型かつ螺菅の丸みが強くて周縁角は無く、全体としては黒化傾向が強いように感じます。
また、大型のわりに非常に敏感で、人が接近したり灯りで照らされるとすぐに頭を引っ込めてしまう傾向が強いように感じます。
やんばるには他に地上性の大型マイマイは生息しておらず、個体数自体も多く感じますが、昼間は落ち葉の下などに隠れているためか見掛ける機会は多くありません。
逆に夜の観察では「昼間はどこにいたの?」と思うくらい多数の本種を見掛けます(^^)

地理的に北部といっても名護や本部半島では「シュリマイマイ」タイプが見られることから(厳密に調べたわけではありませんが)塩屋湾〜大浦湾の地峡部辺りが「ヤンバルマイマイ」タイプとの生息境界になっているように思います。

「シュリマイマイ」との比較でいうと、中南部や本部半島などで見られる「シュリマイマイ」の中にも周縁角がほとんどなく、螺菅が丸くて縫合部がくびれた「ヤンバルマイマイっぽい」個体も見受けられますし、逆に北部のやんばるでも螺菅がやや平板で縫合部のくびれが少なく見える個体も混じっているので、形態の境界は意外に曖昧に感じます。
実際、南部であっても「ヤンバルマイマイにしか見えない」と思うほど丸みが強くて周縁角の全くない大型個体も生息しているのを確認しました(^^;