タイワンサソリモドキ

節足動物門 クモ綱 サソリモドキ目 サソリモドキ科

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2019年の石垣島遠征で初めて見付けた個体。触肢の形状からこれがオスのようです。

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先端から3節目の突起が長くて先端が広がっているのがオスの特徴らしい。

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触肢が太短いハサミ状、第1脚は細長くて触角状、第2〜4脚が歩脚となっています。

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腹部がやけに膨らんでいるのは産卵を控えているのかも?

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ダンゴムシを捕らえている。

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こんな感じで足下にいるとかなり迫力を感じます。

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オガサワラゴキブリをバリバリという感じで頭から食べている。

沖縄諸島から台湾にかけて生息し、一見するとサソリのように見えますが「サソリモドキ目」という一風変わった分類群に属する生き物です。

「サソリ」のような外見をしていますが、触肢(ハサミ肢)は長大なサソリやカニムシとは違って太くて短く、体の後半にはサソリのような体節のある太い尾ではなく、短い尾節の先に鞭状の細長い尾を持っており、尾端にはサソリのような毒針はありません。
ハサミ肢はカニやサソリの場合は触肢の先端節が可動指・先端より2節目の突起が固定指となっていますが、本種の場合は更に先端より3節目にも突起があって固定指を形成、先端から5節目には棘のある突起部が口の前面で左右に合わさるトラバサミ状の特異な構造になっており、各節の突起と併せて「ハサミで挟む」というよりは「抱きかかえて固定する」ような使い方のようです。
先端から3節目の突起の形状は、メスが単純に先に向かって細くなる爪なのに対し、オスの場合は先がスプーン状に広がっていることで雌雄が見分けられるとのことです。
また、写真で比較すると先端から5節目の突起の形状も雌雄で異なっています。
(本来は付属肢の基部から1節・2節目と数えるのが本来ですが、彼らの触肢が全体で何節あるのか良く判らなかったため便宜的に先端から数えています)

本種は巨大な触肢(ハサミ肢)と細長い鞭尾を除いても体長は40mmほどになり、陸棲の節足動物としてはかなり大型の部類になります。
主に夜行性で、普段は落ち葉や石の下に隠れており、夜になると地面を歩き回って昆虫・クモなどの小型の節足動物を捕食するようです。

沖縄本島にも生息しているとのことですが、ishidaはこれまでの沖縄遠征では全く見たことがなく、2019年の石垣島遠征で初めて本種と対面しました。
前述のように大型なだけでなく、危険を感じると体の後半部を持ち上げる体勢をとることから、いかにも危険な香りを醸し出していて迫力を感じました。
実際に敵に襲われると腹端から酸を含んだ刺激臭の強い毒液を噴射するとのことで、攻撃的な生き物ではありませんが不用意に触れたりするのは危険なようですね。

特に八重山諸島では生息数が多いとのことで、実際に2022年の八重山遠征では夜間に生息密度の高い場所では不用意に踏まないように気を付けなくてはならないほど多数の本種を見たこともあります。