シュリマイマイ

軟体動物門 腹足網 柄眼目 オナジマイマイ科 殻径約30〜35mm

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わりと少数派の全体的に黒化した個体。

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軟体部はかなり長く伸びます。

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夜の畑で見付けたもの。肥料の容器に大小さまざまな本種が群れていました。

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殻の上部はあまり膨らみや凹凸は無くて滑らかな形状です。

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殻の側縁部にはわりと目立つエッジ(周縁角)がある。

主に沖縄本島の南部から中部・北部の一部で見られる地上性の大型マイマイです。

近縁でさらに大型の「ヤンバルマイマイ」が北部の森林地帯に限定的に生息しており、それ以外のエリアで見られる大型のマイマイ類はほとんどが本種です。
2016年夏の沖縄遠征では、雨上がりの林内で石灰岩地帯の地上や植物の上を歩いている本種を多く見かけました。
昼間に出会うのは雨上がりが主ですが、実際には夜になると農地やちょっとした藪でも盛んに活動しています。

全体的に濃い茶褐色で側縁にはさらに濃い色帯がありますが、黒化個体は軟体部も含めて濃い黒褐色のため色帯は目立ちません。
個人的には一般的な大型マイマイ類の殻に比べてつるんとした凹凸の少ない巻き方と、周縁角がわりと明瞭なのが特徴的に感じます。

「シュリマイマイ」とは「首里(那覇の古名)」に棲むカタツムリという意味だと思われますが、見た目は全く違う「シュリケマイマイ」と一字違いで何となくややこしい(?)

---------------------------- 2023.04 追記・写真追加 -----------------------------

2023年の沖縄遠征後にネットで調べたところ、沖縄県の「レッドデータおきなわ第3版」の記載によれば「シュリマイマイ」(主に沖縄本島南部〜中部に生息)と「ヤンバルマイマイ」(北部に生息)は同一種の地域変異に過ぎないとされ、実は従来「シュリマイマイ」1種とされていたものがいくつかの別種(※)に分けられているようです。
※これは島ごとに分化しているという意味なのか、沖縄本島内でシュリマイマイに近い隠蔽種がいるという意味なのかは文面ではよく判りませんでした。

地理的には北部といっても名護や本部半島では「シュリマイマイ」タイプが見られることから(厳密に調べたわけではありませんが)塩屋湾〜大浦湾の地峡部辺りが「ヤンバルマイマイ」タイプとの生息境界になっているように思います。

「ヤンバルマイマイ」との比較でいうと、中南部や本部半島などで見られる「シュリマイマイ」の中にも周縁角がほとんどなく、螺菅が丸くて縫合部がくびれた「ヤンバルマイマイっぽい」個体も見受けられますし、逆に北部のやんばるでも螺菅がやや平板で縫合部のくびれが少なく見える個体も混じっているので、境界は意外に曖昧に感じます。
実際、南部であっても「ヤンバルマイマイにしか見えない」と思うほど丸みが強くて周縁角の全くない大型個体も生息しているのを確認しました(^^;

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周縁角が明瞭、螺搭が平坦で縫合部に段差があるタイプ。(今帰仁村産)

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周縁角が明瞭、螺搭が平坦で縫合部に段差があるタイプ。(本部町産)

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周縁角が不明瞭、螺菅に丸みがあり縫合部がくびれているタイプ。(今帰仁村産)

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周縁角が無く、螺菅に強い丸みがあり縫合部がくびれていて「ヤンバルマイマイ」そっくりな個体。(那覇市産)