サキシマスベザトウムシ

節足動物門 クモ綱 ザトウムシ目 マザトウムシ科 体長約8mm

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背甲がグリーンメタリックで美麗なザトウムシです。背甲の1本のトゲが目立つ。

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脚は8本、触肢と鋏角を持つところはクモやダニと同じですが、眼は1対(2個)です。

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危険を感じると自切するため、八本の脚を完全に保持している個体は意外と少ない。

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体幹の後半には体節構造が残る。

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第2脚が特別長く、触角のように前を探りながら歩くことから「座頭虫」と呼ばれます。

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脚の一部(脛節先端部)が白いのも特徴的です。

先島諸島に生息する大型のザトウムシの一種で、ちょっとした森の中から、地上だけでなく植物上にもよく登り、目にする機会はとても多かったものです。
主に肉食性で、小型の無脊椎動物やその遺骸などを食料としていますが、時には地上に落ちたギランイヌビワなども食べるようです。
九州南部から沖縄本島周辺の島にかけて生息する「ギンボシザトウムシ」とサイズや見られる環境がよく似ており、両種は同様の生態的な位置にあるようです。

本州などでは標高によって多種の大型ザトウムシが棲み分けているのに対して沖縄や八重山諸島には標高の高い山は無いため、石垣島や西表島では本種、沖縄諸島では「ギンボシザトウムシ」が全島にわたって最もよく目にする優占種だと思われます。
(九州最高峰の宮之浦岳をはじめとする亜高山帯を含む山地がある屋久島では、「ギンボシザトウムシ」は低地から標高の高い範囲に生息し、更に標高の高い山頂付近にはそこでしか見られなかった別種のものが生息していました。)

頭胸部と腹部に分かれた体を持つクモと違い、ザトウムシは一見するとダニのように体幹が全て一体となっているように見えますが、実際にはくびれていないだけで体の後部には体節構造を残しています。
それ以外の体の造りもかなり異なっており、クモやサソリなどともとりたてて近縁ではないとのことです。
危険を感じると自切してしまうため、大型のザトウムシには脚が欠損しているものが多く見られますが、天敵の多い生息環境によるものなのか、本種の場合は特に脚を失っている個体が特に多い印象です。