リクウズムシの一種
扁形動物門 有棒状体綱 三岐腸目 リクウズムシ
科 体長40mm程度

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右が前。「ベニゴマオカタニシ」に接触しても捕食行動は見られなかった。

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左が前。背面には明瞭な茶褐色の背中線がある。

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右が前。こうして見ると、頭部側が尖っていて色も濃い。

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同所的に背中線がやや不明瞭な個体も見掛ける。

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体の先端にある黒点が「光受容器官(眼点)」のようです。

コウガイビルに代表される「扁形動物」に属する動物は、陸上で普通に見掛ける生き物の中では最も人間から程遠い分類群とも言って良いような生き物です。
一見した印象は名前にあるように「ヒル」の仲間のように見えますが、ヒルは「環形動物門」に属し、体節構造を持っていて、節足動物や脊椎動物などの一般的な生き物と同様に口から肛門へと続く筒状の消化器官を持った生き物です。
それに対して海棲の「クラゲやイソギンチャク(刺胞動物)やヒトデやウニ(棘皮動物門)」など放射状で前後左右の無い生き物たちに比べれば、一応は「前後・左右・裏表」がある「扁形動物門」の生き物というのは広義の「ムシ」っぽい姿をしてはいます。
しかし、本種を含む「ウズムシ」の仲間は摂食口と肛門を兼ねた咽頭が腹部中央辺りにあって、消化管はY字状に3分岐して1本が前方、2本が後方に延びていることから「三岐腸目(Tricladida)」と呼ばれています。

「三岐腸目」の生き物としては水棲の「プラナリア(ウズムシ)」が有名で、本種を含むリクウズムシ(Geoplanidae)科も陸上に棲む彼らの同類です。(Geo:陸の-Planidae:プラナリア類という命名)
一般的なプラナリアのイメージは、矢尻状の頭部に一対の眼があってユーモラスに思えるのですが、陸棲の仲間たちにはそのような外見のものはおらず、どちらかというと眼鼻のはっきりしないグロテスクな生き物というイメージしかありません。

以上は共通的な内容ですが、相変わらず前置きが長いのがishida式です…(^^;;;;;;

分類体系的には科や亜科について色々な意見があるとのことで、ここではWikipediaに掲載されているものに準拠しますが、「リクウズムシ科」の下位には「コウガイビル(Bipalium)属」「リンコデムス(Rhyncodemus)属」「ゲオプラナ(Geoplana)属」の3分類あり、本種は「ゲオプラナ属」に属しているということになります。

ゲオプラナ属のものについては、頭部の形状や眼など一見した外見にはこれといった特徴は無く、這っている方向を見なければどちらが頭だかさえ判り辛いくらいなのですが、実際には体の先端(脳はあるみたいなので便宜上の「頭部」と呼んでいいのかな)には、細かな黒点が多数あって、これが「光受容器官(眼点)」ということのようです。
もちろん眼点が沢山あってもレンズ眼ではないので、明るさの違いや方向程度しか判別していないものと思われますが、それで必要にして十分なんでしょうね。
体全体が明るい褐色で、背面の中央には濃色の背中線があり、これがはっきりした個体とやや不明瞭な個体が見られますが、これが種の違いなのか成長段階による違いなのか、はたまた伸縮によって変化するのか(?)ということもよく判りません(^^;

主に雨上がりの森林などで見られ、這い廻って小動物を捕食しているようですが、実際の捕食シーンは未確認です。