オモイガケナマイマイ

軟体動物門 腹足網 柄眼目 オナジマイマイ科 殻径約11mm 殻高3.5mm

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活動中の個体に初めて、思いがけないタイミングで出会いました。

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思いがけない出会いに興奮を抑えつつも、じっくり撮影できました(^^)

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周縁角(殻の外周)が竜骨状に隆起しています。

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螺搭はほぼ平面状で、周縁角の竜骨状の隆起のため見方によっては上面が窪んでいるように見える。

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いつも小型の「オオケマイマイ」の扁平タイプを見てドキッとしますが、やっぱり似ている?

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この後は岩の隙間に入って行ってしまいましたが、呼び止めることまではしませんでした。

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殻の形態は変てこですが、軟体部は真っ黒い色を除けば至って普通。

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平坦な螺塔部はこの様にうねっているものも多い。

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お兄ちゃんを追いかける弟的な感じ。(どちらも未成熟の小型個体)

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臍孔は大きく開いています。

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一応カタツムリなので、このようなアクロバチックな姿勢も大丈夫。

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これは以前からよく見掛けた死殻。特に右は殻皮も残っていて新鮮な感じ。

「オモイガケナマイマイ」は愛知県東部の石巻山を模式産地とし、静岡県西部と関東の奥多摩山地や秩父山地周辺に分布するとされていましたが、愛知県のレッドデータブック2009年版によれば近年は奥多摩産は別種とされており、更には静岡県の個体群も別種とするのが妥当であろうとされています。
また、その中で「本種を含め、かつてオナジマイマイ科とされていたグループは、近年では、いずれもナンバンマイマイ科の所属と考えられる様になった」ともありましたが、今回は「カタツムリハンドブック」の記載に合わせオナジマイマイ科としました。
最も特徴的な殻形状は全体として扁平で周縁角が竜骨状に隆起しており、見方によっては上面が窪んだ盃状の形態にさえ見えます。
平坦な螺塔部は全体的にほぼ平面となっていますが、巻きの終盤がうねったように曲がっているものも多く見られます。
殻を裏側から見ると臍孔は大きく開いており、イメージ的には何となく「アンモナイト感」を醸し出している?
軟体部は異様な感じの黒さですが、色以外は特に特徴的な形態はしていません。
ishidaの目にはこの殻の形態が何となく「オオケマイマイ」の螺搭が扁平なタイプとよく似て見えてしまい、「やった、オモイガケナマイマイ発見!!」と思ったら実は「オオケマイマイ」の子供だったということが頻発します。

石巻山での個体数も非常に少ないようで、2021年は何度も探しに出掛けたにもかかわらず観察できたのは死殻のみでした。
しかし、2022年最初の観察行ではカタツムリの出現自体が非常に低調だったにもかかわらず、期待していなかった本種との文字通り「思いがけない」出会いがあって大感激です。
その後は多数見掛けることもありますが、居そうで居ない?居るととろには居るけど居ないところにはいくら探しても居ない…という感じでしょうか。(一応ishidaの観察スタイルは、周辺の環境に配慮して藪の中や道なき道に入り込むようなことは避けています。)
いずれにしても、狭い地域の限られた場所にしかいないのは、元来が小型で移動性も乏しいところへ、天敵(彼らの場合はイボイボナメクジや鳥類・小型哺乳類が最も脅威?)などから逃れるために特殊な環境に適応したためのようです。

「オモイガケナマイマイ」という独特の名前は、やはり自身が新種記載した他種にもインパクトのある和名を色々と付けている湊宏さんによる命名で、文字通り「思いがけない場所」で見付けたためにこのような名前になったとのことです。
ちなみにishidaは30年以上前からつい最近までずっと「オモイガケナマイマイ」だと思っていました…(^^;;;;;;;;

なお、石巻山の上部(概略は旅館街より上)は「石巻山石灰岩地帯植物群落」として国の天然記念物、愛知県の「石巻山多米県立自然公園 第1種特別地域」に指定されており、動植物の採集は現状破壊行為として禁止されているだけでなく、本種は県の「指定希少動植物種」として種自体が採集禁止となっています。