ベニゴマオカタニシ

軟体動物門 腹足網 基眼目 ゴマオカタニシ科 殻径約1.8mm 殻長約2.5mm

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普段はこのように石灰岩の表面に貼り付いて休眠している。

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乾燥して白っぽく見える部分と鮮やかな紅色の部分との違いは、他の個体に舐められたかどうかの差のようにも見える?

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体が小さいわりに思ったよりも移動速度は速い。

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よく見られる殻の舐め合い。

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新記録?の団子4兄弟(^^)

殻の高さが2mm強ほどときわめて小型の陸貝で、ヤマタニシの仲間のように革質の蓋を持っているらしいのですが小さすぎて目視ではよくわかりません。
殻は田んぼに住むタニシをそのまま小さくしたようなプロポーションで、名前の通りにやや濃い紅色をしていますが、多くは表面が摩耗していて乾燥した状態では白っぽく見えます。
また、肉質部は白色半透明で短く、他のカタツムリ類とは違って触角はなく、頭部に黒い眼点がかろうじて見えます。

栃木県から西の本州、四国、大分、山口にかけて局地的に分布するとのことですが、東海地方では愛知県東部から静岡県西部に分布する石灰岩地帯だけに生息しているとのことです。
(太平洋側の分布域は中央構造線の三波川変性帯内の石灰岩地帯と概略重なっている?)
近縁種の「フクダゴマオカタニシ」が沖縄の石灰岩地帯に分布するとのことで、本種の分布との関連から見るとフィリピン海プレートに乗って拡散した先祖が由来のように感じます。

晴天時には石灰岩の表面の窪みなどに貼り付いており、雨天時などに岩の表面が濡れると活発に動き回るようです。
同類同士でおんぶして相手の殻を舐めるような行動がよく見られ、自宅の水槽で苔取り用に飼っている「イシマキガイ」でも同じように見られますが、これは繁殖行動とか習性というよりも単に群生しているから結果的にこうなるんでしょうか?
殻の表面を舐めるということは少なからず殻を削って食べてしまうということになるので、舐められている側にとっては迷惑な話ですよね。(しかし、舐められることで表面が磨かれて紅色がより鮮やかになっているようにも見える?)

実は最初に石巻山へ撮影に出かけた際、休眠している他の陸貝を撮影して自宅で画像確認したら、周囲に本種が群れているのを発見しました…現地では老眼+薄暗い環境で全く見えていなかった(^^;
前述のように分布は非常に局地的で石灰岩の露頭でしか見られないとのことですが、石巻山の石灰岩の露頭がある周辺では石灰岩がまとまってありさえすれば神社の石垣でさえ多数の本種を見ることができます。