グンバイトンボ 

トンボ目 モノサシトンボ科 体長約45mm

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一見した印象は「モノサシトンボ」に似ています。

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大きな違いはやはり中・後脚の腿節が大きく広がって「軍配状」になっている点です。

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特徴的な中・後脚に比べ、前脚だけはごく普通の造りです。

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とまっていると面積の広い白い脛節が非常に目立つ。

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メスは青みが薄く、やや緑がかった体色で、一見すると「モノサシトンボ」との見分けが難しい。

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連結したペア。この角度からだと左右の複眼を繋ぐような「後頭条」が目立つ。

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イトトンボ目特有の「ハート形」の交接体勢。

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交尾したメスをガードするため、オスは産卵が終わるまで連結します。

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受精を済ませたペアは、水に沈んだ植物の組織に産卵します。

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このような体勢もイトトンボ目では普通です(^^)

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産卵を続けるうち、メスは完全に潜水してしまう。

主に中部地方から中国地方〜九州にかけて生息地があり、関東以北や四国の生息地は限定的だとのことですが、他の地域でも生息地はかなり極限されているようです。
ishidaの地元の愛知県でも見られる場所は限られており、保護された生息地でも好みの狭い範囲でしか姿を見ることができませんでした。
生活環境としては抽水植物が豊富で流れの緩やかな河川と、周囲に未熟な個体が隠れることのできる森に囲まれた環境が必要なようです。

一見した印象や色合いは同じモノサシトンボ科の「モノサシトンボ」によく似ていますが、本種の場合は一回り小さく、さらには中・後脚の脛節がまるで花弁のように大きく広がっており、これを「軍配」に見立てての命名となっています。
ただし、この軍配状の脚を持つのはオスのみで、メスはごく普通の姿をしています。
通常、イトトンボ目のトンボの脚には長い剛毛が生えており、これをまるで網籠のように使用して小型の昆虫などを抱え込んで捕獲すると考えられています。
本種のオスの場合はここがまるで団扇のようになっているため空気抵抗が大きく、網籠のような使い方は出来ないのでは?とも思うのですが、実際に獲物を捕らえることに対して弊害があるのかどうかは不明です。

実のところ、本種を見たことがなかった頃は「モノサシトンボ」のオスが飛んでいるところを見ると、たたんだ脚部が白く目立つため「お!グンバイトンボじゃない??」と思うことがしばしばありました(^^;
しかし、実際に本種を見ると脚部がまるで米粒を抱いているかのように目立って見えるし、サイズも一回り小さいうえに本種は上下にひょこひょこ動く独特の飛び方で、見慣れてしまえば間違うことはありませんでした。

本種のメスもサイズの違いを除けば「モノサシトンボ」のメスの異色型(「モノサシトンボ」のメスは緑がかった黄褐色の「異色型」と、オスのように青い「同色型」がある)と非常によく似ていますが、本種の場合は雌雄ともに後頭部に左右の複眼を繋ぐように「後頭条」があるのが特徴的です。