アサヒナカワトンボ(有色翅型)

蜻蛉(トンボ)目 カワトンボ科

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「有色翅型」オス個体は遠目に見ると「ニホンカワトンボ(橙色型)」そっくりに見えたが、明らかに小さい。

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こうしてみると、胸部と頭部の比率も「アサヒナ」っぽい。

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翅の不透明部の幅は狭く、濃色斑も目立たない。

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翅を閉じていると濃色に見え、「ニホンカワトンボ」っぽく見える。

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オスの未熟個体。翅前縁付近の不透明部は白い。

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メスは「無色翅型」しか出現しないが、このような翅色のものは未熟な個体か?

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これは愛知県で見るものと全く差異を感じない。

ishidaの普段のフィールドである愛知県を含む中部地方では「アサヒナカワトンボ=無色翅型で小型」「ニホンカワトンボ=有色翅型で大型」という図式が固定されており、生息地ではしばしば混棲しているものの明らかに生殖隔離もされているという印象です。(実際には発生時期はニホンカワトンボのほうがやや早いが、2種が同時期に同じ場所で見られる)
他の地域ではそれぞれの種に「有色翅型」と「無色翅型」が混在し、明らかに生息地が棲み分けされていたり、それぞれどちらかの種しか分布しない地域も存在しています。
そもそもいわゆるカワトンボと称されるものは、現在は上記2種に整理されているものの以前は数種に分けられていたくらい変異や地域差があるのも事実です。
で、ishidaの場合は単なる好奇心が主たる動機ですが「アサヒナカワトンボの有色翅型のものを見てみたい」という願望がありました。
愛読書の「日本のトンボ」(文一総合出版)やネットの文献などを調べたところでは、「アサヒナカワトンボの有色翅型」が確実に生息していて遠征がしやすいエリアというと伊豆半島以西ということになります。
特に伊豆半島から神奈川県西部にかけては「アサヒナカワトンボ伊豆個体群」なる集団もあり、三浦半島には隔離的な集団もあるとのことです。
ここはひとつ、明確に「アサヒナカワトンボ(有色翅型・無色翅型)」だけが生息していると見られる三浦半島と、「アサヒナカワトンボ(伊豆個体群)」が生息していると思われる神奈川県西部を探索ポイントに選定して出掛けました。

結果的にはまず初日を三浦市と横浜市(大都会なのに思った以上に自然が豊か)での探索に充て、夜間に移動して神奈川県西部の山あいを2日目の探索地としました。
初日は(条件や遭遇した個体数は十分とは言えなかったかもしれないけど)「アサヒナカワトンボ」の有色翅型・無色翅型の両方を確認・撮影することができました。
翌日は午前中はあまり日差しが無くてやや撮影条件に恵まれませんでしたが、明らかに前日見たものとは違う雰囲気の「アサヒナカワトンボ」の有色翅型・無色翅型の両方を確認できました。
ただ、神奈川県の一部には「ニホンカワトンボ」も生息しており、今回見たものがあまりにも「ニホンカワトンボ」に似ている気もして、ちょっともやもや…(^^;
中部地方では両種の見分けに気を使うことはないのですが、一般的によく言われる「両種の見分けの難しさ」も実感できる結果となりました。
とりあえず三浦半島で撮影したものについては、「有色翅型オス」と「無色翅型オス」が混在するエリアもありましたが、ここではオスは「有色翅型」のみが見られたエリアで撮影した「有色翅型オス」と「無色翅型メス」の写真を掲載します。

「アサヒナカワトンボ(伊豆個体群)」と思われる個体については何となく釈然としない気持ちも湧くため、次回以降の再確認結果を見て追記したいと思います。
その辺の経緯については「トピックス」に書きました。