ツマグロカマキリモドキ 

アミメカゲロウ目 カマキリモドキ科  約25mm

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このように翅をV字型に開いていると、色合いも相まって「アシナガバチ」に見える。

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脛節の可動息が広く、腿節より後ろに反転するように折り畳まれる独特の前肢の構造です。

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顔は逆三角形でカマキリによく似ている。

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腹端の形状から、この個体はメスのようです。

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身を隠したりする際には通常の「アミメカゲロウ類的」に翅を屋根型に畳んでいる。

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以前見た「ヒメカマキリモドキ」同様、前肢の跗節は爪状に変化し、連鎖状の部分や鉤爪は無い。

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捕食のためか、繁殖のためか、身繕いは入念に行うようです。

捕食性昆虫として独自の形態に進化したカマキリは大好きですが、「カマキリモドキ」は収斂進化によって全く別の系統でありながらカマキリのような形態を持った昆虫です。
例えば以前紹介している「
カマバエ」なんかも、双翅目(ハエ・カの仲間)でありながら、いかにもカマキリっぽい顔付きや前肢を持っています。
もちろん昆虫の前肢はほとんどの昆虫が同じ構成なので、前肢で獲物を捕らえる戦術をとる場合は前肢がよく似た形となるのは必然ともいえます。
本種を含む「カマキリモドキ」の仲間も、脈翅目(アミメカゲロウの仲間)でありながら、三角形の頭部や前肢がカマのような形状に変化しているだけでなく、長く伸びた前胸部を持つ体全体のプロポーションまで似ています。
しかし、体の後半は近縁なクサカゲロウなどを髣髴とさせる姿をしていて、トンボのようなカゲロウのような特徴を持つ「
ツノトンボ」同様にいくつもの種の特徴を備えた「キメラ」的な印象を抱かせます。

本種の場合、色合いなどから明らかに「アシナガバチ」に擬態していると思われます。
ヒメカマキリモドキ」は以前に自宅でも見たことがありishida式のHPでも紹介していますが、本種との出会いは2023年の九州遠征での出会いが初見です。

ハイキング的な行動中に草むらにいる本種を見たときには「ああ、アシナガバチがいるな」と思い、念のためにしゃがみこんで覗き込んで見ると何だか頭が変な感じ??
よく見たら「カマキリモドキ」の一種だと気付き、大急ぎで「マクロ撮影モード」に装備転換しました(^^)

最初は「キカマキリモドキ」かなと思ったのですが、やけに派手な色合いに違和感を覚えつつ、どちらにしろしっかり撮影するのは初なのでしっかり撮影しないといけません(^^)。
ちょっと撮影したあとで脇見をした瞬間に姿が見えなくなってしまい焦りましたが、飛び去ってしまったわけではなく葉の裏に隠れていただけでした。
いったん飛び立った後も、すぐそばの葉裏にとまってくれましたが、あまり飛翔自体は得意ではないのかもしれません。

また、初めに見付けた時には翅をV字型に半開きしており、色合いだけでなくその姿勢も含めてアシナガバチっぽく見えたのですが、葉裏に隠れている時などは脈翅目でお馴染みの翅を屋根型に折りたたんだ姿をしています。
つまり、翅をV字型の開いて見せるのははやはり「天敵に対して自分をアシナガバチのように見せる」ためのポーズだということのようです。

帰宅後にネットなどで調べて見ると「キカマキリモドキ」ではなく、「ツマグロカマキリモドキ」だということが判り、本種はかなり生息地が限られたレア昆虫だったようです。

ヒメカマキリモドキ」は以前のishidaの観察でもクモの卵嚢に寄生する(実際に確認したのは「アシダカグモ」でした)のが確認されていますが、本種の場合は同様に寄生性のはずですが宿主は不明で、分布が限られる理由も判っていないとのことです。