ヤエヤマクビナガハンミョウ 

甲虫目 ハンミョウ科  体長9mm前後

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初めて出会ったときは感動しました(^^)それにしても変わった体型です。

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なかなか静止した時間が短く、実際にはピントの来ていない写真を量産しました。

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実際にはもっと青緑色が強いのですが、カメラマン泣かせのメタリックカラーですね。

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複眼は大きくて突出は顕著、頭部は前後に短く、吻部はさらに短い。

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どうしても後ろ姿が多くなってしまいます(^^; 背面には特に目立った斑紋などはありません。

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クワズイモの葉上のため、意外にサイドビューの撮影ができた。

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でも、葉の縁まで歩いて立ち止まったシーンが多く、頭部が暗闇に沈みがち。

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数少ないサイドビューかつ葉の縁ではないショット(^^;。

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これも数少ない前からのアングル。こう見ると、個々のパーツはいかにもハンミョウらしい。

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たまにはクワズイモではない背景でも撮影できました。(隣のクワズイモから飛び移っただけですが…)

本種は国内では西表島、石垣島、与那国島のみに生息する特異な体型のハンミョウです。
大半の種が地上性で幼虫も含めて地面で活動するハンミョウ科の中にあって、本種は植物の葉上で活動し、クワズイモの葉上などで見られます。
本種のメスはアカメガシワなどの植物の若い幹に穿孔して産卵し、幼虫も幹の中に上向きに穿孔した巣穴(幼虫は逆立ちの体勢)で生活するそうです。

スリムな体型で前胸部が先細に長く、逆に頭部は寸詰まりな特異な体型をしており、特に青緑色のメタリックカラーが鮮烈な印象です。
吻部は他のハンミョウに比べてとりわけ短く、上唇や大顎のリーチも短いことから、知らなければハンミョウの一種とは思えません。

前述のように成虫はクワズイモの葉上で見付けましたが、クワズイモという種に依存しているというよりも、広い葉の上を狩りや出会いの場として利用しているだけのようです。

「日本のハンミョウ」(堀道雄編 北隆館 令和元年刊行)によると、本種が属する「クビナガハンミョウ属」の分布域は熱帯アジアが中心で、八重山諸島は分布の北東の端に位置するとのことです。
その中での記載では成虫の活動期間は非常に短くて、遭遇するチャンスは1か月もなさそうだなと考えました。
コロナ禍で1年延期して2022年に満を持して決行した八重山遠征ですが、本種の発生時期に合わせて時期を決めたといっても過言ではありません。
しかし、前半の西表島での探索は不発に終わり、ちょっと焦りを感じつつ移動した石垣島でやっと対面することが出来ました。

本種はただでさえ近付きにくいハンミョウ類の中にあっても、小型なためもう一歩前進して撮影しようとするとすぐに別の葉に飛び移ってしまうため撮影はかなり苦労しました(^^;
そのうえ、追いかけまわすとだんだんと藪の奥へと逃げて行ってしまい、なかなか姿を現してくれなくなってしまいます。
(でも、地面にいるハンミョウの撮影に比べると、屈み込まなくてよいぶん体勢的には腰に優しく、横からのアングルもある程度撮影できました。)

最初に発見した場所には日を改めて撮影装備もより重厚長大化して更に2回訪れましたが、何故かその場所では全く見付けることが出来ませんでした。
活動時間や環境の好みが激しいため再挑戦時に活動していなかったのか、はたまた昆虫(採集)マニアに捕り尽くされてしまったのか…
(再訪した際にチョウがチャック付きのビニール袋に入れられた状態で落ちているのを発見したので、本種を狙ったかどうかは不明ですが最初に撮影した日以降に採集目的で誰かがそこへ訪れたのは間違いなさそうです)
採集に対する賛否はあると思いますが、ネットで検索すると標本を販売するサイトなども出てくるくらいなのでマニアに限らず採集目的の輩はある意味ishidaの天敵とも言えますね。

その後、石垣島を離れる最終日にもう1ヵ所で見付けることができ、慌てて昆虫撮影装備に転換(そんなことも想定して撮影装備は手荷物にパッキングしてあって正解でした)して追加の撮影もすることが出来ました。