ハンミョウ(ナミハンミョウ)

甲虫目 ハンミョウ科   17mm前後

hanmyou_P9302661.jpg - 137,471Bytes

hanmyou_P9130181.jpg - 78,406Bytes

hanmyou_P9130120.jpg - 93,308Bytes
ishida式で「ハンミョウポーズ」と呼ぶ、体を高く持ち上げる独特の姿勢。

hanmyou_P9130098.jpg - 82,094Bytes
特に赤みの少ない、全体が青緑色の個体も現れます。

hanmyou_P8227761.jpg - 57,776Bytes

hanmyou_P9202336.jpg - 73,848Bytes

hanmyou_0778.jpg - 158,306Bytes

hanmyou_1595.jpg - 143,720Bytes

hanmyou_1614.jpg - 121,098Bytes

hanmyou_1631.jpg - 132,743Bytes

hanmyou_2013.JPG - 128,961Bytes

hanmyou_0278.jpg - 145,300Bytes

hanmyou_0767.jpg - 145,842Bytes

----------------- 2023.10 内容の追記と修正・写真の追加 -------------------

国産の昆虫類のなかでも特に美しい種類の一つで、ishidaお気に入りの昆虫の一つです。
他のハンミョウはどちらかというと地味な色合いのものが多い中で、代表種の本種は最も大型で非常に美しい輝きを持っています。
人の足元から飛び立って少し先に降りる行動がまるで道案内しているように見えることから、別名「ミチオシエ」とも言います。

フィルムカメラの時代から山道などで見かけるもののなかなか撮影の機会が無かったのですが、意外にも自宅の近郊でも見られることが判明(はんみょう?)。
暇があればちょくちょく狙って撮影に行くのですが、本種の写真は地面に這いつくばっての撮影となるため、出来れば他人様には見られたくない姿です…。

とても敏感で動きも素早く、すぐに飛び立ってしまうため撮影には結構苦労させられます。
複眼の大きい見た目の通り視力も非常に良いようで、よく「立ち上がって周囲を見回す」行動が特徴的で、ishida式ではそれを「ハンミョウポーズ」と呼んでいます。

肉食性で、広い開けた場所に出てきて敏捷に歩き回り、アリなどを捕まえて食べます。
意外(?)に綺麗好きなようで、肢の脛節内側にブラシのように密生した毛を使っての身繕いに余念がありません。

神社の境内や林道など、周囲に森があるような開けた場所で見られ、成虫は春〜夏にかけて活動した後でいったん姿を消し、その後に晩夏〜秋に再び個体数が多くなります。
春に出現する成虫は夏の盛りまでには姿を消してしまい、晩夏を迎える頃から再び新成虫が羽化して活動しているということのようです。
これは、1年のうちに成虫で越冬した個体が春に繁殖・産卵して寿命を終えるという世代と、夏〜秋に羽化してそのまま越冬するという二つの世代が見られるということです。
「日本のハンミョウ」(堀道雄編集 北隆館刊)によると、一部は秋にも産卵する個体があるとのことですが、自分の観察しているフィールドでは秋の繁殖行動は未確認です。
また、図鑑などでは「成虫で越冬する」とありますが、秋に成虫が活動している周辺にはまだ大小様々なサイズの幼虫が見られます。
これらの幼虫は春に産卵したものが孵化した幼虫と昨年生まれで成虫になれなかった世代が混在しており、実際にはこの幼虫たちも越冬して翌年の夏に成虫になるものと、再度幼虫で越冬するものがいるということのようです。
つまり、一般的な一年で生活サイクルが完結する「年一化」の昆虫とは違い、足掛け2年以上かかる生活史を持っているということですね。

hanmyou_P9073515.jpg - 90,305Bytes
メスの大顎は基部から中央までが白く、その先はメタリックグリーン。

hanmyou_P8227678.jpg - 91,277Bytes
オスの大顎はメスより長大で全体が白く、先端と小歯だけが黒い。

hanmyou_P8227702.jpg - 95,271Bytes
ブラシで体のお手入れ中。こう見ると、オスの大顎は特に長大に見えます。

ハンミョウ(幼虫)幼虫は地面に穴を掘り、頭で蓋をしてカムフラージュし、周囲を通りかかった虫などを捕食するというのはよく聞く話です。
「ニワハンミョウ」なども、山道に穴があるのを見掛けるものの、幼虫は見たことがありませんでした。
しかし、よくよく確認すると、こちらが気付く前にすぐに穴の奥に隠れてしまうということが判明しました(^^)。

ハンミョウの場合も、成虫が活動している近辺の赤土の地面を見て見ると幼虫の巣穴があるのを見付けることができます。
そっと近づくと、頭で蓋をしていた幼虫がこちらの気配に気付いて穴の奥に引っ込んでいくのを確認でき、しばらく穴の前で待つと中から幼虫がせり上がってきます。
幼虫はまるでヘルメットを被っているような顔付きで笑えますね。(実際には「ヘルメット」の部分は前胸背板です)

平たい頭の周囲に剛毛が生えていて、穴の形や周囲の振動を感じ取るセンサーのようになっているようです。

巣穴の形は周辺がややすり鉢状になったきれいな円形で、ハンミョウの場合はやや斜め、ニワハンミョウの場合はほぼ垂直に掘られているようです。
掘った土がわざわざ穴から離れたところに捨ててあるのは、外敵に気付かれにくくするためでしょうか?