SAMSUNG VLUU EX1  (その1:導入編)

新型機テストの名目で、今期久々(?)のコンパクトカメラの新機種を導入しました。

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F1.8がやけに誇らしげ。わざとらしくブランドロゴが見えないようにしていますが…

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実は韓国SAMSUNG製の高級コンパクト機「EX1」。

2010年の初頭、PMAショウで韓国のSAMSUNGから発表されたEX1(USではTL-500)という高級コンパクト路線のデジタルカメラです。
スペックとしてはF1.8〜の明るさの広角24mmからのズームレンズ、バリアングルタイプの有機ELディスプレイなどが特徴的です。

SAMSUNGは1980年代にミノルタ(現在はカメラ事業から撤退した現コニカミノルタ)と提携関係にあり、それ以前からカメラの設計・製造は行っていたようです。
デジタル一眼レフ分野ではPENTAXとも提携していた時期もあり、コンパクトデジカメの分野でも世界的なシェアはそこそこあるようです。
だからといって、短絡的に「良いカメラを作っている」とはいえませんよね。

とはいえ、半導体や液晶TVでは世界のトップ(レベル)のシェアを持っているわけですし、本国では家電製品以外にも金融、自動車、不動産・建築、商業施設なども含めて巨大な総合企業でもあります。
家電製品以外でも(まだまだ安さが武器とはいうものの)プリンタやMFPなどのOA機器への進出も目覚しいものがあり、日本企業のコンペティターとしての側面も無視できないものがあります。

また前置きが長い…

SAMSUNGのデジカメも、カメラ好きとしては無視しても良いレベルなものかも含めて非常に興味が湧きます。
(つまり、単なる野次馬根性っていう意味ですね)

2010年6月初旬に韓国出張の機会があり、ちょうど良い機会なので韓国のカメラ事情なんかも調査してくるつもりが、移動・仕事・メシ・寝る以外の時間がほとんどありませんでした(^^;。
結局、帰国の際に仁川空港の免税店をうろついてカメラを売っている場所を見つけ、やっとのことでSAMSUNGのカメラと初対面でした。 

第一印象は「思った以上に(失礼)良く出来ているし、質感も高い」という感じです。
しかし、価格も期待とは裏腹、思った以上に高価…同じ場所で売っている日本ブランドのカメラと同等の値付けという印象です。
そういえば、出張前にAmazon.com(本国の)で見たら$499と、驚異的に高いカメラという印象だった。(これを書いている10月時点、$300台にこなれてきているようです)
その際に読んだUSAでのレビュー記事では、
ライバルはPanasonicのLX3なんだそうで。
普通に考えると、「数値的にはLX3と同等スペックだが、こっちはこんなに安いですよ」的な商売をしていると思っていたのですが、実は価格も同等
また、レビュー記事によると「画質はLX3より上」なんですと!
USAのユーザーやレビュアーにとってはどちらも外国製品ですから、それなりに公平な立場で見ていると考えると、思った以上の実力の持ち主といえそうです。
とりあえず、(SAMSUNGの)本国なら安く購入できるでしょうと思っていたにもかかわらず、ソウル市内のカメラ店や電気店での価格が判らなかったので購入はパスしました。

しかし、店頭で触った限りでは品質感は高そうだった。(日本製工業製品並みの品質や信頼性があるかは未知数…というか、やや不安)
日本で売るつもりも無いのに、設定には何故か日本語メニューもあった

その後、予期せず(?)8月末〜9月初にかけて二度目の韓国出張(でも、今回はソウル市外)。
しかし、今回も日曜日まで(^^;お仕事してしまい、実機は駅の百貨店とホテル近くの電気店でしか見られませんでした。
どちらも価格は空港で見た値段よりも高かった。

結局時間も無かったので、帰国時に空港の免税店でご購入。
本体(電池、充電用ACアダプタ同梱)と予備電池1個、コンセントアダプタ、2GSDメモリ×2枚、本皮風カメラケースがおまけで付いてUS$431(当時84円/$程度)でした。
Amazon.comでのカメラ単体での価格よりはだいぶお安い印象です。
(多分、ソウル市内のカメラ店ならもっと安いんでは…と思うが買った後なので未確認)

まずは、値段だけ見ると(バリアングルモニターや24mm/F1.8〜の明るいレンズに魅力を感じなければ)パナソニックのLX3を買ったほうが良いかも…という印象。

外装色はブラックとグレーの2色あり、購入したのは(黒っぽく見えますが)グレーです。
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GX100(左)は背が低いためかなり横長。EX1(右)は幅同等で高さはかなりある。

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被せ式&紐付きのレンズキャップ(左) おまけで付いてきたSDカード。やっぱりSAMSUNG(右)

カバーや鏡筒、ダイヤル類は金属製で、見た目の質感はかなり高いくて、外装の継ぎ目なんかも目立ちません(と言うのは失礼かしら?)。
シュナイダーブランドのレンズは玉が大きく、男らしい(^^;

デザインは、良く言えば真面目で質実剛健、悪く言えば華の無い野暮ったい感じ?
他のSAMUSUNG製カメラも、前面に自分撮り用のサブ液晶を装備したものなどユニークなものはありますが、全般的に野暮ったいデザインな気もします。
液晶TVやノートパソコン、携帯オーディオなどはかなりおしゃれなデザインだと思うのですが…
でも、日本メーカーのなかでもN社のカメラなんかも同じく野暮ったいイメージ?

サイズはカタログスペック的にもGX100やLX3よりも背が高くて厚みがあるのですが、数値以上に大きく重く感じます。

また、GX100やLX3の悪しき前例を踏襲したバヨネット式レンズキャップを採用。
紐が初めからストラップ環に通してあって、キャップを分解しないと取り外せない構造のようです…?
-------追記---------
先にキャップ側をくぐらせてキャップを外しておいてから、紐だけを吊り環から外せばよいだけでした(^^;

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デザインの特徴の一つとなっているグリップ部と前ダイヤル(左) HDMI端子を装備(中・右)

グリップ部には独特のパターンが刻印されていて特徴的。しかし、形状・大きさとも掛かりが浅くてグリップ感はそれほど良くない。
赤外線(オプションのリモコン用)受信部、前ダイヤル(プッシュ機能付きで、露出補正に使用可能)、AF補助光LEDが並んでいます。
特に、パナソニックの真似かもしれませんが、前ダイヤルをプッシュすることで露出補正機能が呼び出せ、ダイヤルを回すことで設定を変更できるのは良いです。

グリップ側の側面には「HDMI」の刻印が…フタを開くと、ミニHDMI端子とUSB端子(見たことない形状)が現れます。

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電池はリチウムイオン1130mAh(左) 充電用のACアダプタとケーブル(右)

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このように、ACアダプタからUSBケーブル(データ転送兼用)を接続して充電(面倒くさい)。

予備電池は欲しいと思っていたのでおまけで付いてきてラッキー。
(前回より値段は下がっていない分おまけが付くようになった?)
しかし、いわゆる「バッテリーチャージャー」ではなくてACアダプタをカメラ本体に接続して充電するタイプで、充電中はカメラを使用できないっていうのはかなり不便…。
その代わり、パソコンからの充電や、世間一般のUSB充電器(携帯電話やミュージックプレイヤーを充電するやつ)も使えるかも…未確認です。

電池自体は他機種との共通品のようなので、カタログを見るとオプションとしてバッテリーチャージャー(それでもやはりUSB電源接続?)は売られています。
後発の帰国者に頼んでみたけど、さすがに空港の免税店では充電器単独では売っていなかったそうです。



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上面から見た操作部。鏡筒のローレットが切ってある部分は取り外し式のアダプターリング。

高級コンパクトを標榜するだけあって、操作部は高級感があります。
上の写真左から
・フラッシュのポップアップスイッチと内蔵フラッシュ
・ホットシュー
・スピーカー/マイク
・ドライブモードダイヤル(ブラケット・セルフタイマー・連射・単射)
 ダイヤルの中央が電源スイッチと電源インジケータ
・シャッターボタン、同軸に配置されたズーム/拡大縮小レバー
・撮影モードダイヤル

背面から見た操作部。下の黒いものはクイックシューの台座です。
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・バリアングル有機ELモニター(SAMSUNGではAMOLEDと呼ぶ)を装備。
写真のボディー右側の上から
・AEロックボタン
・動画ボタン
・メニューボタンと測光モードボタン
・十字キー(DISP/ISO/MACRO/FLASH割り当て)とOKボタン、外周は電子ダイヤル
 十字キーでのメニューや画像の移動、電子ダイヤルによる移動・スクロール可能
 (電子ダイヤルの建付けはやや安っぽい感触)
・再生ボタンとファンクションボタン(ゴミ箱兼用)
電源OFF状態から再生ボタンでの画像再生可能(GX100と同じ)なので、再生のみの場合はレンズキャップを外す必要は無い。

モニターサイズは3型で解像度はVGA(30万画素)
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バリアングルの利点はこういう使い方でしょう。

嫌いな人もいるようですが、サイズ的な制約を除けばバリアングルモニターは非常に良いと思います。
特に、ワイドレンズを生かした「自分撮り」には威力を発揮。しかし、モニターを見ていると視線があっちに行ってしまうというのは買ってみて初めて判った(^^;

SAMSUNGが「AMOLED」と呼ぶ有機ELディスプレイはコントラストが高く、視認性や色合いも含めて液晶よりアドバンテージがあると思います。
寿命などについては課題はあると思いますが、デジタルカメラでは大きな問題にならない気もします。(実際には不安があってもどしどし採用して商品力アップと課題解決・生産技術向上も図る韓国メーカー対コストデメリットと品質で難癖を付けられたくない日本メーカーとの差が出ている感あり?しかし韓国メーカー的な発想のS社が有機ELに消極的なのが不思議ですね。)


ここで少し休憩して、外観と主要な機能・性能をおさらい。

外装
・前面カバー、ダイヤル、鏡胴等は金属製
・外装色は黒とグレーの2種(グレーを購入)
・被せ式&紐付きのレンズキャップ
・両吊り式のストラップホルダー

機能・性能
・シュナイダーブランドの24mm〜72mm・F1.8〜2.4ズームレンズ
・10Mピクセル 1/1.7インチCCD
・30万画素 有機ELバリアングルディスプレイ
・手動ポップアップ式内蔵フラッシュ
・外部フラッシュ装着可能なホットシュー装備
・露出モード P/A/S/M/スマートオート/シーンモード
・動画モード 640×480/320×240 30/15fps
・光学式手ブレ補正(電子補正をプラスしたDUAL ISモードあり)
・ISO AUTO/マニュアル設定80〜3200
・WB 自動/昼光/曇天/蛍光灯H/蛍光灯L/タングステン/ユーザ設定/色温度
・前面ダイヤルからダイレクトに露出補正可能
・撮影画像のトリミング可能
・フォーカスモード AF(ワイド・スポット・マルチ・顔検出可能)/MANUAL(拡大可)/MACRO
・記録メディア SD(〜2GB)/SDHC(〜8GB)

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フラッシュをポップアップした状態。

最初に述べたように、メニューでは日本語表示も選択可能。
言語選択ではびっくりするくらいの多言語が選択可能ですが、ファームウェアを仕向け別に作っていないからでしょうか。
何となく命令口調だったり、微妙に日本語的に変な表現もあります。

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電源SWをONするとまず叱られました(^^;(左) メニューで日本語表示を選択(右)

 

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撮影モードでのメニュー選択画面(左) 顔検出も各種の機能が選択可能(右)

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なかなかグラフィカルなWB設定画面(左) WBのユーザー設定画面(右)

各種調整の画面はガイドも表示され、意外に判りやすく出来ています。
フラッシュモードを強制発光に設定するには、フラッシュをポップアップさせてやらないとメニューに表示されないのに自分では気が付きませんでした。

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画像調整(左) フラッシュモード、フラッシュ調光補正(右)

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DISPボタンで各種設定を表示させたところ(左) 設定非表示(右上) 露出補正時(右下)

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「選択AF」にすると、AFフレームの移動が可能(左) Fnボタンを押してメニューを表示(右)

メニューから階層をたどって入らなくても、撮影状態からFnボタンを押すことで撮影メニューを表示させて設定することが可能です。

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ISO設定で800以上は(ノイズ大)と表示(左) フォーカスモード表示とMF時のインジケータ(右)

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モードダイヤルの切り替え時に出る表示(左) 動画モード設定、意外にショボい?(右)

メニューの階層や設定のカスタマイズ項目は日本製のカメラの方が勝っている感もありますが(たとえばマイセッティングの登録やボタン機能のカスタマイズなどは非搭載)、グラフィカルな表示の見易さや使い勝手は良好です。
日本語のメニューには所々に変な日本語が見られますが、これはご愛嬌?

全体的には、よく日本のライバルメーカー等の研究をしているなという印象ですが、突出して優れているところはありません。

実際に使ってみての印象や、肝心の画質については引き続きテストを行ってレポートします。

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